iPhoneアプリ作成の相談を受ける上で、意外とアプリとはどのような内容に適しているかが明確になっていない人が多いと思い、アプリ化に適した内容とアプリのメリット、デメリットをまとめておこうと思いました。
アプリに適した内容とは、Webでは実現できない、端末の内部機能やデータを使うものだと思うのです。
アプリは、ゲームや実用、エンターテイメントなど、いろいろな内容が提供されており、インストールするとiPhoneのホーム画面上に配置されます。
どうやら、ホーム画面に配置=使ってもらえると思われているようですが、決してその限りではありません。
有料アプリであれば、ダウンロードされた時点で課金されますが、不要と思われたらそのまま放置されるか悪い評価を付けられて終わってしまいます。
Webで実現可能なものはWebで
Webの世界でも、スマートフォンではPCと同様にjavascriptによる多彩な表現が可能です。
ここ最近、html5も出てきており、Webでできることは大きく広がりました。
Webで実現可能なものは当然アプリでも実現できるのですが、後述するメリットがなければWebで作っておいた方が改修も手間がありませんし、開発費も安く済みます。
これは、iPhoneとAndroid両方に提供したいというものであればなおさらで、iPhoneアプリとAndroidアプリでは開発言語が異なりますから、両方作るには乱暴な計算をすると単純に倍のコストがかかることになります。
また、特にiPhoneアプリには出品に審査もありますし、Appleの開発者登録も必要です。
せっかく作っても出品できないというリスクもあるのです。
なお、ホーム画面に置いて…というだけであれば、Webのブックマークはホーム画面に設置可能ですので、ユーザーにホーム画面に置いてもらうための仕掛けを作れば良いのです。
ホームに置くと何かができるというような実装は不可能ですが、このあたりの仕掛けは、facebookページのいいねボタンに似ている気がします。
アプリ化するメリットとは
では、アプリ化のメリットとは何でしょうか。
- Webでは使えない端末機能が使える
例えば加速度センサーや傾きセンサーを使ったゲームや、端末へのプッシュ配信を使ったクーポンアプリなどです。 - 標準アプリが保存した端末内のデータが使える
例えばカメラで撮影した画像を使って画像に加工をしたり、音楽データを使用してゲーム化するようなものです。 - 端末内にデータを保存できる
例えばダイエット支援のように端末内にデータを格納しておき毎日使ったりするようなものです。 - マーケティング、マネタイズ面
iPhoneのアプリはiTunes Connectで基本的なデータを把握することができますし、iAdや有料アプリなどのマネタイズが容易です
アプリ化することのデメリット
アプリには良い面ばかりではありません。
Webと比べると以下のようなデメリットが考えられます。
- 開発コストが高い
Webと比べるとエンジニアも少なく、プラットフォームごとに開発が必要です。 - アップル次第で使えなくなる可能性がある
iOSのバージョンアップもですが、アップルの方針変更で突然使えなくなることもあります。 - App Storeからしかダウンロードできない
iOSアプリはアップルの公式ストアからしかダウンロードできず、審査も緩いものではありません。 - プロモーション手段が少ない
App Storeでのみ配布ということに起因するものですが、Webほど多くのプロモーション手段が存在しません
ざっと簡単に書いてしまいましたが、多くの企業にとって問題となるのは費用対効果だと思います。
アプリだけで収益を上げることは現状難しく、かかるコストに対する売り上げは大きなものではありません。
アプリ開発者である以上これを言ってしまうと自分の首を絞めてしまうことにもなりますが、ブランディング的側面からの知名度アップや新しい技術への取り組みなどのプロモーション効果という部分が理解できなければ企業としてアプリを作るというのは、正直微妙かと思います。
スマートフォンアプリってそんなに甘くないよ!ということを書いてきましたが、しっかりメリットとデメリットを見極めてアイデアをひねり出せば、シンプル(=低コスト)でもエキサイティングな良質なアプリを作ることはできるはずです。
もはやスマートフォンアプリの世界は技術力ではなくアイデア勝負ではないでしょうか。
長期に渡り、キャリア(携帯電話事業者)に支配されてきた携帯アプリの世界が、より自由度が高く楽しいものになってきているのは紛れも無い事実です。